ベーシックインカム給付対象年齢についての考察 ① -「全年齢・全国民」はあり得ない。

ベーシックインカム(以下、BI)の給付については「日本国民全員に、無条件で一律に」が良いと主張されている方もいます。

その主たる根拠は
・行政コストが最も少なく済む
という点にあるようで、またその他にも
・現行の社会保障制度下で生じている不公平が解消できる
などといった点も考慮されているようです。

確かに、行政コストはできるだけ抑えられるのが好ましいです。BI導入には大きな財源も必要ですし、コストの削減には敏感であるべきだと思います。不公平な部分が減ることもとても良いことだと思います。

がしかし、全年齢を給付対象とすることはマズいです。

というのも、大人の庇護下にある子どもがBI給付対象になるということはつまり、その子どもに金銭的価値を持たせてしまうことになるからです。

給付対象を年齢で制限しないことのデメリット

年齢関係なく全国民に一律に給付することは確かに行政コスト面では最も安く済む方法でしょう。しかし全国民に給付するということはそもそも給付総額も最大化するということです。

給付対象を一部制限することによる給付総額の減少分と、給付対象を絞らないことによる行政コストの削減分。そのどちらが勝るかは明らかだと思われます。どれだけ制限するかにもよりますが、給付総額の減少分の方が大きいでしょう。

……とはいえ、そんな給付総額の話など、実はこの給付対象年齢を考える上ではほとんどどーでもいいことだったりもします。

なぜなら、そんなことより『子どもに金銭的価値を生じさせてしまう』ことの方がはるかに大問題だからです。この問題から派生してあらゆる諸問題を生んでしまうことが予想されます。

1.不自然な人口爆発

仮に1人当たり月8万円の給付があるとすれば、年間で約100万円の受給になります。これをもし一律に子どもにも乳幼児にも支給すると仮定すると、子どもが1人いればその家族の世帯年収はそれだけで100万円増えます。

2人目が生まれたら世帯年収は200万円、5人生まれたら世帯年収は500万円も増えます。もし10人子どもをつくったら、無職であろうと夢の?年収1,000万です。

人口爆発が起きないわけがないです。その是非は意見の分かれるところかもしれませんが、個人的には人工知能に職を奪われることが危惧されている時代に意味不明な人口爆発を起こして明るい未来が待っているとはちょっと思えません。

2.子どもが商品化され売買対象に

今さら、よりによって日本で「人身売買が起きるかも」なんて話はウケが悪いかもしれませんが、現実的に十分起き得ることです。

たとえば低所得な親戚がいれば、「うちの子を1人あちらに…」なんてことも巷では起きるかもしれません。DQN層の中には「赤ちゃん製造が仕事です(笑)」なんて人たちも出てくるかもしれません。年間給付100万円が見込める赤ちゃんなら、たとえば500万円で売りに出せば買い手はすぐつくでしょう。

3.女性の社会的な排除が起きる

子どもを2人3人産めば母親は十分豊かに生きていける社会において、女性にとっての社会参加のインセンティブは皆無に等しくなります。むしろ若くて健康なうちは「仕事なんかしてる場合じゃねぇ!」と思うのが自然かもしれません。

実際、BIに少し近い、欧米で実施されている給付付き税額控除でも、シングルマザーの社会的な排除がすでに問題として顕在化しています。社会的な排除というと少し優しすぎるかもしれませんが、要するに無職のシングルマザーが増えるということです。

4.虐待児童の保護ができなくなる

子どもに金銭的価値が生じてしまうと、行政が保護すべき子も保護できなくなってしまうことが懸念されます。

親元から子を保護することは、他人の財産を取り上げるに等しいことになってしまいます。いろいろ問題が生じるのは必然です。

5.従来の保育〜学校教育が成り立たなくなる

子どもに金銭的価値が生じてしまうと、保育園から高校ぐらいまで、子どもを預かる教育機関の負担があまりに大きくなり過ぎてしまいます。

特に幼児保育などは、恐ろしくて誰も他人の子の面倒など見たくなくなるでしょう。万が一のことを考えたらリスクが大きすぎます。

また小学校以降も、体育の授業、プール、遠足、修学旅行、全部できなくなるでしょう。

6.離婚時の親権争いが泥沼化

大変醜い争いが多発することは容易に想像がつきます。

7.婚姻率の劇的な低下

子どもに金銭的価値があり、しかも下手に結婚してしまうと離婚時に親権を奪われてしまう可能性もあるとなれば、女性側は籍を入れることに何のメリットも感じなくなるでしょう。

未婚の母と、誰の子か分からない子どもであふれた社会になる可能性も考えられます。

まとめ

以上、あれこれ並べ立ててきましたが、話は単純です。

全年齢にBIを給付してしまうと子どもに金銭的価値が生じてしまい、非常にまずいことになる。

…このことから、子どもに対しては減額給付を行うことも消極的にならざるを得ません。経済力に見合わない子作りをする動機づけにもなり得ますし、働かないことの負の動機づけにもなり得ますので、下手したらBI導入が新たな貧困を生むことも懸念されてしまいます。

では、何歳から給付対象とするのがよりベターか?
それは次の記事にまとめてみます。▼

『ベーシックインカムの給付対象年齢についての考察 ②』

(更新し次第リンクを張ります。もし書き忘れて更新がなかったらコメント欄から急かしてください)

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