ベーシックインカムの財源は消費税が良いんじゃないかと思う。 ①

ベーシックインカムの財源について。
今のところ所得税を財源とする考え方が主流だけど、所得税よりも消費税を財源とした方が良いのではないかと思うので、その根拠について記事にまとめてみます。

所得税を財源にすることのメリット

所得税を財源とするというのは、一見、あまり深く考えていない状態だと、妥当性を感じます。なんとなくだけど、まあ所得税がいいんだろうね、という感じに。

そう感じることの理由をあえて挙げるなら、まず所得税が国家の財源として元々大きい割合を占めるものであること、そして税制が複雑であるために大衆が受け入れやすいものであること、あたりが考えられます。

所得税は大きくて複雑だから大衆を説得しやすい

所得税について、そもそもその税制がどうなっているのか? を理解している人は少ないです。ベーシックインカムについて巷であれこれ言ってる人の中でもよくよく理解している人はそんなに多くない可能性があると思います。私も「所得税について詳しい」とは言えません。

つまり大多数の人にとって所得税というのは、少しぼんやりしています。しかしそのぼんやりしているものが、国税の税目のうち最も高いウェートを占める基幹税になっています。

よく分からないけど、すごく大きい。だから何となく「それでいいんじゃない?」という感じに受け取られる。

国民からの納得感を得られやすいという意味ではとても良いと思います。がしかし、国民の納得を得られやすいからといって、その考え方が良いものだとは限りません。

所得税を財源にすることのデメリット

まさに「大衆は常に間違う」の言葉通り、国民の理解が得られやすそうな所得税財源論には、後述する消費税財源論に比べてはるかに大きなデメリットがあります。

1.所得税は景気の影響を受けやすい

まず第一に、所得税という税収は景気の影響をモロに受けるため、ベーシックインカムの財源としては安定感に欠けます。

現行制度下でも生活保護や各種手当、年金を頼りに暮らしている人は大勢いますが、それはベーシックインカムが導入されてからも同じです。ベーシックインカム頼みの生活を送る人は大勢いることになるでしょう。

つまり一旦ベーシックインカムを導入したらその運用はまず何より安定していることが重要になります。「今年は10万円給付されたけど来年からは8万円になるかもしれない」とか「数年後には廃止されるかもしれないから娘を大学に進学させるのは不安」とか、そんな不安を国民に抱かせるようなことがあってはそれだけで制度として失敗です。(みんなガッツリ貯め込むことに専念してしまう)

なので景気の影響を受けやすい所得税を財源にすることは、ベーシックインカム制度に大きな不安材料を自ら付け加えるに等しいぐらいの愚策かもしれません。

2.格差の拡大・階層の固定化が強く懸念される

ここはちょっと難しい話になってしまいますが。個人的には一番問題がある点だと考えています。

現状で累進課税方式になっている所得税を財源として「毎月国民に現金を給付する」というのは、社会を歪ませることが強く懸念されます。

所得の高い人ほど税率が高くなる所得税の累進課税は、とても不公平な仕組みです。垂直的公平といって、これはこれで公平なんだという考え方が一応今のところは主流になっていますが、そんなのは単なる詭弁であって、単純に不公平な税制です。

そしてもしこの不公平な税制のまま所得税をベーシックインカムの財源にするとなれば、恐らくその不公平さはもっと大きなものにならざるを得ないでしょう。

お金持ちは大きく損をして、貧乏人はちょっとだけ得をする、そんな社会になります。そんな社会からお金持ちや人財が流失しないわけがないでしょう。するとやがて得をしたい貧乏人だらけの社会になってしまいます。

では人財の流失を防ぐために税率を一律に上げたり、中間層の税率を高めに設定した場合はどうか? その場合はもっとひどいことになるでしょう。「なぜ俺らがニートを養わなきゃならないんだ!」という強烈な“損してる感”を国民に抱かせてしまいます。事実として自分の世帯収入が増えていようと、関係ありません。人は得より損に敏感なものです。

で、こういった「貧乏人ほど得をする社会」「働かない人ほどお得感が大きい社会」というのは、勤労者に対して負の動機づけを与えてしまいます。働かないという選択を後押ししてしまいます。勤労・就労意欲を奪ってしまいます。

すると働く人と働かない人とで格差が今まで以上に進行していってしまいます。欧米諸国によくありがちな問題そのままです。

また累進課税が何らかの形で強化されれば、所得階層も下から上に昇っていくのがとても難しくなります。既にお金持ちな人が従来より1割程度多く税金を納めたって、それで生活に困るようなことはないでしょう。でもこれからお金持ちになろうという人が所得から税金をごっそり持っていかれたら、そういう“新規のお金持ち予備軍”にとっては高い累進課税率は大きな痛手になりますし、重税感が大きいです。するとここでも負の動機づけが働いてしまいます。能力のある人のやる気を削いでしまいます。

3.現行の所得税制はいずれ大きく改正していく必要に迫られる

所得税の税率は今までにも何度か改正されていますし、また所得税というのは各種の控除とも関連性の深いものです。いろんな控除ができたり、改正されたりします。

ベーシックインカムの財源に所得税を充ててしまうと、この所得税の改正が非常にやりづらくなってしまいます。少なくとも今の所得税の制度で「完璧だ」と思っている人はいないでしょうから、そういう税をベーシックインカムの財源にしてしまうのは後々かなり面倒なことになるのが明らかです。

個人的には、いずれ将来的には、所得税は本当の意味で公平(水平的公平)な一律の税率になる日が来ると思っています。国を超えた人や物の移動が今では想像できないぐらいにスムーズな世の中になれば、不公平な税制のままでは国家財政が立ち行かなくなるのが明白だからです。

所得税財源論のメリット・デメリットまとめ

長くなってきたのでここで一旦区切ります。肝心の消費税を財源にすることのメリット・デメリットについては「②」でまとめます。

ちょっと蛇足ですが、国家が貧しい人を支援するのは、貧しい人を救いたいからではありません。健全な国家運営をするために、その目的のための手段の一つとして貧しい人の救済措置があります。この目的と手段を混同したり逆に考えたりしてしまうとベーシックインカムについての議論がおかしなことになるので注意が必要です。

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