今年は世界経済が景気後退? なぜ急に「好景気来るぞ!→景気悪くなるぞ!」に変化したのか?

去年の、少なくとも前半までは、世界経済はこれからどんどん好景気になっていくぞ、という論調が目についたように思います。が、そんな論調は最近ではめっきり見かけることもなくなり、それどころか“リセッション(景気後退)”というワードが頻繁に目につくようになりました。

なぜ突然こんな真逆の見方に専門家たちの見解が振れてしまったのか?

ウォール・ストリート・ジャーナルのこちら↓の記事からその理由をまとめてみました。
世界的な好景気、始まる前に終了か – WSJ

リセッションに見舞われるかもしれない、その理由

記事によれば、最近の景気減速の短期的な要因は非常に明確で、それは

  1. 貿易摩擦(特に米中間の貿易摩擦)
  2. 金融引き締め

とのこと。
あくまで“最近の、短期的な要因”は。

金融引き締めとは言っても、過度に引き締めてるわけじゃない

貿易摩擦に関してはまあ仕方ない感じの部分もあるしとりあえずここでは置いておくとして、金融引き締めについて。金融引き締めも、別にこれはリセッションの理由として十分かといえばそうは言えないものだとのこと。

というのも

各国中銀は金融危機後、金融緩和によって世界経済に資金をあふれさせた。その後中銀が行ったのは、数滴程度の資金を吸収したことだけだ。

ということで、過度の引き締めをして失敗したとかいう状況なわけではなく、控えめに引き締めしていただけなのに急にリセッションの危険が高まってしまったという状況のようです。

世界の大半が低成長の均衡状態に陥っている可能性

つまり、過度の金融引き締めをしているわけでもないのに、ちょっと引き締めをしたらもう景気が冷え始める予兆が見えて、ありゃりゃこりゃマズいかもしれないぞと驚いているような状況。

ではなぜそんな状況になっているのか。
それは、中立金利(景気を冷やさず過熱もさせない金利)が以前よりもずっと低い水準にあるから。

例えば、FRBによる直近の利上げが、多くの予想通り、最後になった場合、米国の新しい実質の(インフレ調整後の)中立金利は0.5%未満となり、歴史的な水準の2%を下回る。

低成長の均衡状態の主な原因は「人口動態」と「生産性」

中立金利が以前よりもずっと低い水準にある、実体経済が弱い状態にあるのは、なぜなのか。その原因には人口動態と生産性の変化があるようです。

世界中が少子高齢化

少子高齢化というテーマに直面しているのは日本社会だけではなく、意外なことに開発途上国でも同じような懸念があるそうです。

高齢になった労働者が引退し、富裕国と開発途上国でいずれも出生率が落ち込むなか、労働人口の伸びが以前より減速している

具体的に開発途上国でどの程度の出生率の落ち込みがあるのかまでは調べていませんが、記事内で言及のあった例を紹介しておくと中国では昨年の出生数は前年比12%減。これは1961年以来の低水準とのこと。また米国でも昨年は1987年以来の低水準だったとのこと。

特に中国の出生数の落ち込みは激しいですね。約60年前の水準って。…日本ならその年代はすごい高い水準かもしれませんが。

生産性……投資が不足している

ハーバード大学の経済学者ラリー・サマーズ氏は低い中立金利が、世界で投資が貯蓄と比べて構造的に不足していることに起因するとしている。

引用部分がちょっと分かりづらい日本語になっていますが、要するに投資が少ないから中立金利は低くなってしまっている、という話。

この、サラリーマンでもキャバ嬢でも株やなんかの投資に関心を持っている時代に、投資が少ないってどういうこと? と思うかもしれませんが、ここで言う投資は企業の大規模な設備投資とか開発途上国のインフラ投資とかといったもっとスケールの大きい投資のこと。

たとえば中国はこれまで政府がインフラに重点的に投資をバンバンしていたので、その影響で成長率も高い水準を保てていました。しかし昨年…

中国政府は昨年、このインフラ投資の過熱が公的債務を危険なほど増加させていることを懸念し、急ブレーキを踏んだ。インフラ投資の伸び率はそれまで何年も平均15~20%だったが、昨年11月には3.5%に落ち込んだ。

インフラ投資で抱える財政赤字が洒落にならないものになってきて、しかも経済成長を遂げるにつれてその投資に対する見返りがどんどん小さくなってきていることもあり、インフラ投資に急ブレーキをかけたとのこと。

また世界全体で見ても、儲かる投資の機会が先進的なテクノロジーを除いて減ってきている、のかもしれないとのこと。

ただちにリセッションというわけではない

儲かりそうな魅力的な投資の機会が世界レベルで減ってきていて、さらに世界レベルで人口動態の先行きが暗いものとなってきている。……以上のことからリセッションの可能性が叫ばれるようになっているようです。

とはいえ別に今のところ、世界が間もなくリセッションに落ち込むというほどの状態ではないそう。というのも雇用市場は依然として極めて力強く、産業界は投資には消極的でも雇用に消極的なわけではないので。

ただし、…

低成長の世界においては、ごくわずかな金融引き締めでも、大きな、そして苦痛を伴う影響をもたらす可能性がある。

おわり:トレーダー目線で見ると…

経済政策や金融政策を少し誤ればあっという間に低成長の波に飲まれて溺れるようなことにもなりそうなので注意が必要そうです。

その意味では、ファンダメンタルズの分析で「これはマズいだろう」という政策を打ち出す国があったら警戒しないといけなそうです。

投資の機会も人口動態もそう簡単にひっくり返るような問題ではないので、市場としては今後なかなかリスクオンのムードになりづらい状況が続くのかもしれません。

もしそうであれば、じわじわと円高が進んでいきそうですが……うーん、どうなんでしょう。そう単純に読ませてくれないのが市場なのでまだその辺の考察については見方を定めないでおこうかと個人的には思います。

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