今年の市場はブラックスワン的な大きなリスクが2つ、米中貿易戦争の激化と英国のEU離脱問題とがあり、警戒感は常に存在している雰囲気です。
そしてそんななか、あるデータがアメリカ経済の景気後退を示唆しており、一部のアナリストらは今後の相場が弱気に転じることを予想しています。
そのデータとは、アメリカの景気循環を示すデータで、具体的には
- 失業率
- 長短金利差(10年金利−2年金利)
- 消費者信頼感指数の将来・現在格差(先行き見通し指数−現状判断指数)
といった指標がいずれも低下する局面で約10年に1回迎える景気後退のサイクルです。
リンク 週刊エコノミスト Online
景気後退の必要条件は揃ってしまっている
景気後退局面入りするには何らかの「きっかけ」であったり、はじけるだけの「バブル」が必要です。で、今の好景気にはそういった懸念材料が存在していないかのようにも見えるかもしれません。
ところが悲観論者によれば、きっかけもバブルも存在しているといいます。
きっかけは「金融引き締め」と「景気のスローダウン」、バブル(=過剰)は「企業の債務」とのこと。
金利が上がれば、景気後退に陥る
景気が良いと借り入れが増えて債務が膨らみ、しかしその債務が膨らんでいるときに金利が上がると、過剰な債務は調整を強いられることになります。
米国企業の抱える債務をGDP比で取ると、2008年のリーマン・ショック前は30%程度だったのが、直近では50%にまで拡大しています。
それだけ拡大していれば、ひとたび何か“きっかけ”があれば企業の持つ資産価値が下落したり、キャッシュフローが悪くなることも避けられないでしょう。
FRBの政策金利は慎重で、利上げ幅はまだ小さいと見る向きもあります。ところが、エコノミスト誌の記事によれば「FRBのバランスシート拡大の影響によって生じたイールドカーブのフラット化を考慮した『影の政策金利』を考えれば、利上げ幅は5%にも達する。」とのこと。
見方によっては現在の金利も景気後退に陥るに十分なほどに上昇しているようです。
引用 週刊エコノミスト
まとめ:
個人的には米経済の先行きはあまり悲観していない、どちらかと言えば楽観的な見方をしている側だと思うのですが、でもこういう悲観論にも一理あるなと思えるので、いずれにせよ変化への警戒は必要だなと感じます。
注意しなきゃいけないのは、米中貿易戦争や英国のEU離脱問題に気を取られているところに急にこの手の景気後退局面入りの動きが起きてくることです。
突発的な、一時的な動きだと勘違いして強気の見方をしていたら深手を負うようなことにもなりかねません。
ただそうは言っても、過剰に警戒していてもそれはそれで逆に、利益を得られる機会を弱気な見方で逃してしまうことにつながりますし、その辺のバランス感覚は重要そうです。
いずれにせよ、債務の拡大、金利の上昇、実体経済のスローダウン、それから企業利益率の悪化には注意を払っておくべきでしょう。
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